人間の皮膚というのは、実は第三の脳だと言われていて、細胞からの発達段階において脳と肌は同じところから枝分かれしているのです。
私たちが思う以上に、皮膚というのは、いろんな情報を受け取っています。
赤ちゃんはその肌を使って、お父さんお母さんの愛情をたくさん受け留めています。
そもそもおなかの中にいるときは、お母さんと一体不可分です。
赤ちゃんは自分では自分の居る場所の外にお母さんがいる、という認識はなくて、お母さんと二人で一つと思っています。
二人という認識がまずなく、お母さんと一体であることが当たり前な状態で、およそ十ヶ月過ごすわけです。
そうすると出産した後、つまり外界を知った後でも、実はその時点でまだ自分と他者という認識の区別がありません。他者が一緒にいて初めて一人という感覚です。
なので、その状態で抱っこされない、つまり大人が認識する「ひとり」にされると、当然いろんなものが欠落している、喪失感がたくさんで、本当に不安になるのですね。
そうは言ってもこの世に生まれたからには、一人になって生きていかなければならないわけですが、時間が必要です。
自分がお父さんお母さんとは、別なんだ、という認識に至るまでに、生まれてからしばらく時間がかかるので、そこは本当に本当にゆっくりゆっくり慣れさせてあげていただきたいと思います。
そのためにも、本当に肌と肌と触れ合う、お母さんをはじめ他者と長い時間を一緒に密接に過ごすということは大事かなと思います。